2018/12/11 2018/12/31

子どもの気持ちがわからない自分との葛藤。不登校は自分の人生を見つめなおすきっかけでもあった 【不登校生の保護者インタビュー第9弾】

不登校の子を持つ保護者の方に、我が子との向き合い方を伺う「不登校生の保護者インタビュー」第9弾。
今回は、高校二年生の息子と、中学二年生の娘を育てるママ。自身のブログ『ほほえみの世界へ』を運営している「ともみ」さんにお話を伺いました。

息子の気持ちがわからなかった

――本日はよろしくお願いします。
  まずは家族構成から教えていただけますか? 

夫と私、息子が今 17 歳、娘が 14 歳です。
息子は通信制高校の 2 年生で、娘は公立中学の 2 年生です。
うちは 2 人とも学校に行かない期間がありました。

――現在のお子さんの様子を教えていただけますか?

息子は、一週間に1日か2日行っています。
でも、前みたいに行き詰っている感じはなくて、行く、行かない、を自分で選択しています。

娘も、朝は苦手なんですけど、3時間目から行くとか、自分で時間を決めて、自分のぺースで学校へ通っています。

私は、子どもの不登校と向き合っているうちに、「本人たちが何かに引っかかっているっていうことがわからない自分」っていうのに気付いて、その自分を矯正したいっていう気持ちがずっとあったんです。

今日はそこをお話しできればと思っています。

――是非、聞かせてください。
  では、まず息子さんが学校に行かなくなったのは、いつごろからですか?

行かなくなったのは、中学1年の時だったんですけど、小学5年生の時にクラブチームでいじめにあって、情緒不安定になって、学校で暴れてしまうような時期があったんです。

情緒学級へ通ったりして半年ほどで落ち着いたんですが、本人は小学校の時の混乱を取り戻したいと思ったようで、中学校では吹奏楽部に入ったりもして頑張っていました。

ただ、学校に行くと疲れてしまうようで、夏ごろから学校を休み始めたんです。

その時は、私も息子の気持ちがわからなくて、「どうして行かないの」と責めてばっかりいたんです。

友達が迎えに来てくれればいけるんじゃないか、とか息子が学校に行けるようになる方法を考えていて、すぐに「休んでいいよ」とは言えませんでした。

――家族のかかわりはどうでしたか?

私はうるさく学校に行くように言っていて、息子がそれに抵抗して暴力や暴言がありました。

その上、暑い時期でも1カ月近くお風呂に入らなかったり、ご飯もほとんど食べなかったりっていう感じになってしまって。。

主人も、学校に行かない息子を全く受け入れることができなくて、話を聞くこともできず、息子の部屋のドアを蹴って穴開けたり、息子も自分の部屋の物を壊したり、暴言暴力でめちゃめちゃになっちゃって、娘も怯えていました。

息子の代弁者だったのは妹

――その状況を相談できるような場所はあったんでしょうか?

私には年子の妹がいるんですが、妹だけが息子のことを理解してくれていたので、相談していました。

妹は、小さいころから問題ばかり起こすようなタイプの子だったのですが、妹にしてみると、要領よく生きてきた私には、息子の気持ちはわからないだろうと思っていたみたいです。

「息子くんは、すごく気を遣ってるし、自分の嫌だっていう気持ちを誰にもわかってもらえないって思ってるんじゃないかな」って息子の気持ちを代弁してくれるんです。

私は本当に妹のことを頼りにしていたんですが、その妹が息子が不登校になって半年経った時に、くも膜下出血で亡くなってしまったんです。

――それは大変でしたね。

そうなんです。

その上、当時、小学4年生だった娘が、妹の葬儀の後から急に引きこもって、部屋から出てこなくなってしまって学校にも行かなくなりました。

息子が学校に行かなくなってから、私は息子にかかりっきりだし、お父さんは暴れるし。

娘はギリギリだったんでしょうね。

――娘さんも学校に行かなくなってから、息子さんには何か変化がありましたか?

その時も、まだ私は子どもの気持ちがわからなかったので、娘が行かなくなった時に息子を責めてしまって、「あなたが学校に行かないから、妹も学校行かなくなっちゃったんだよ」って。

そしたら娘が「お兄ちゃんは関係ない」って言うんです。

でも息子は、「自分がいけないのかもしれない」って言い出して。。

その時は、娘自身が「関係ない」って言ってくれたので、私も息子に、「ごめんね。妹がお兄ちゃんは関係ないって言ってるね。それぞれの理由なんだね」と言いながら3人で泣きました。

娘の言葉があったから、関係ないんだ。それぞれの理由があるんだな、と思えたんですが、私自身それは徐々にわかっていったことなんですよね。

――ともみさん自身の気持ちはどうでしたか?

私は2人とも学校に行かなくなってしまって、わけがわからなくなりました。

それまでは、なんとか息子を奮い立たせて学校へ行かせるのが改善だと思っていたので、息子に楽しいことをさせるとか、美味しいもの食べさせるとか、学校へ行けるようになることを目指して努力するばかりでした。

だけど万策尽きちゃって、もう何をしたらいいかわからなくなって、動けなくなったんです。

ずっと寝ていましたね。3人で寝ていました。

その時が、それぞれが自分のことを考えるような時間だったのかもしれませんね。

――ともみさんは、どんなことを考えていたんですか?

なんで私は、子どもの「嫌だ」っていう気持ちをそのまま受け入れられないんだろうとか、嫌って言うなら理由があるはずだし、みんなは行っているんだから行くべきだ、とか考えていましたね。

子どもたちの気持ちを知りたいと思って、通信で心理学の資格取ったりもしました。
私が人の気持ちを知らないからできないんだと思ったので、知識を詰め込もうと思ったんです。

その時は、子どもたちをどうにかしようっていう気持ちは全くなくなっちゃって、混乱を勉強に向けたんです。

アドラー心理学とか、親業のセミナーに行ってみたんですけど、それは私には合わなくて。「共感しましょう」とか、「傾聴しましょう」とか言われるんですけど、やるべきことは頭でわかってはいるんですけど、私自身が癒されてないので、イラついてしまって。。

私のイラついた気持ちを心理学の先生に相談しても「まずはやってみましょう」という感じだったので、すぐには解決はしないんですよね。当たり前なんですけど。。

だから全然受け入れられなくて、お金は払ったんですけど途中でやめてしまいました。

心理学を学んで、方法を知ればできると思ったんです。
でも、決定的な方法はないんですよ。
状態は悪くはならないですけど、解決もしなかったです。

子どもたちを変えようという考えを止めて、様子を観察することにした

――お子さんとの関係に変化はありましたか?

息子に「ご飯だよ」って言っても「うるさい」って言われるし、夜中こそっと起きてきた時に、私が「何食べる?」とか聞くと、「うるさい。いちいち起きるからムカつくんだよ」って言われて。

息子からも娘からも何をしても怒られる状態になったんです。

娘はまだ小学生だったので、「一緒に寝て」ってくっついてきたり、反抗したり、揺れがすごくありましたね。

私はその時に、もう子どもの言いなりになっちゃおうと思ったんです。
今は甘えたいんだな、とか今は反抗したいんだな、とか。

私が何でだろうと思うよりも、ただただ子どもたちの様子を観察するようになりました。

そうすると子どもに声をかける時も、「お風呂入ったんだ。さっぱりしたじゃん」とか、「ご飯食べてるんだ」とか状態だけを話すことができるようになってきて。。

すると、だんだん普通に会話ができるようになってきました。

その時には、なんで学校に行かないんだろうっていう気持ちは、心の奥底に沈んでいっていました。
だけどたまに辛くなって、お風呂で泣いたり、スーパーでお惣菜を買ったり、自分の心のバランスをとるようにしていました。

そのころから自分のバランスをとることと、子どもの気持ちを理解することが、だんだん噛み合ってきたような気がします。

学校に行ってほしいという気持ちは消えないけれど

――少しずつ話ができるようになってきたとはいえ、学校の話題は出せないような感じでしたか?

本人にとっては、学校の話は言われたくないだろうなとは思うんですけど、私は遠慮しないで、たまに言っていました。

よく、「学校に行かなくていい」って子どもに言ったほうがいいとかいうじゃないですか。
私はそれは全くやってないんです。

だって私は学校に行って欲しいって言う気持ちは一回も消えていないから。
本人が決めたことは尊重するし、そう思うんだ、とは思うけど、お母さんが思っていることは違うからっていう気持ちはあるんです。それでいいと思ってて。

私は一回も、学校なんて行かなくていいんだよと思ったことはないです。

結局、学校に行きたくない理由はわからないですよね。
「何で行かないの?」って言うと、「雨降ってるから」とか「足の小指を柱にぶつけて痛いから」とか言うんです。

でも、その時に私が「足の小指ぶつけたら、学校行けないよね」とか言うと、結構喜んでて、「わかる?」なんて言ってくるので「わかるよ。小指ぶつけたらお母さんだって仕事行けないよ」とか、そんな感じです。

他のお家とは、ちょっと価値観が違っちゃったなとは思っていました。

――今、息子さんはどのような生活をされていますか?

今は、一週間に1日学校へ行くような感じです。
でも、息子としては、中学であまり勉強していないから、ちゃんと勉強したいそうなんです。

だから、留年して高校を四年行ってもいいか、なんて話しも出たので、留年するにしても、浪人するにしても、自分で決めてねという感じです。

行きたい大学も本人が勝手に調べていて、そこへ行くには、学力を積み重ねないといけないんですけど、失敗しても、成功しても、本人の経験としてやっていくのが、いいんじゃないかな、と思っています。

「今はそういう時期。内側で育つものも見てあげて」不登校の子を持つ保護者の方へのメッセージ

――最後に不登校の子を持つ保護者の方に何かメッセージをいただけますか?

私にとって、子どもの不登校は、私の親と私自身の関係を見つめなおす時間でもありました。

私は今までやらないといけないことを優先して生きてきたようで、自分がやりたい、やりたくないっていう事を、私はあんまり考えてこなかったんだなと言う事にも気づきました。

矯正したいなんて思ってましたが、矯正ではなくただ『自分を知ること』でした。

学校に行けないことに対しては、「どうして」ということではなく、「そうなんだね」って言ってあげられる世の中になれば、見守っている保護者も楽になるんじゃないかなと思うんです。

不登校を問題視することよりも、イヤイヤ期とか反抗期みたいに、今そういう時期で、考える時間が必要なんだね、ということでもいいんじゃないかな。。と。

学校で努力できる子は、外側で成績に繋がる活動が出来ると思うのですが、不登校の子供はしっかりと内側で自分らしい活動をしていると思うのです。

そこを成績にしたら結構いい点数になるんじゃないかなって思うんですよね。。
そこは家でしかわからないことなので、私は我が子たちには満点あげたいと思っています。

ぜひ、そんな視点で見守ってあげてほしいな。。と思います。

――あたたかいメッセージありがとうございます。
  本日は貴重なお話しを聴かせていただき、ありがとございました。

◆ともみ
通信制高校二年生の長男(中学一年生より不登校)と中学二年生の長女(小学五年生より不登校)を育てるママ。自身のブログ『ほほえみの世界へ』にて子育て経験談を赤裸々に綴っています。不登校ママサロンスタッフとしても活躍中。

編集後記

お話を伺っていて、お子さんの気持ちがわからないと感じた時に、心理学やそれに関連する勉強をたくさんされていて、真面目で頑張り屋さんだなぁという印象を受けました。

また、ご自身は、子どもに学校に行ってほしいという気持ちを持ち続けていることを正直に話してくださりました。

それは、自分の気持ちと子どもの状態の間で葛藤する保護者の方へのエールでもあります。

自分の気持ちを否定する必要はなく、その気持ちを抱えながら、お子さんとの関わり方を考えることもできる、大変参考になるお話でした。

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