2018/06/28 2018/06/28

娘とぶつかり死も覚悟した。彼女の生き方について今思う事【不登校生の保護者インタビュー第6弾】

不登校の子を持つ保護者の方に、我が子との向き合い方を伺う「不登校生の保護者インタビュー第6弾」。今回は、不登校を乗り越えて、現在娘さんがドイツにいる「ロンさん」にお話を伺いました。

人一倍敏感でプライドが高い娘

――本日はよろしくお願いします。
  まずは簡単な自己紹介お願いします。

ニックネームはロンでお願いします。
主人と義理の両親、子ども3人と住んでいまして、不登校になったのは末っ子でした。
兄弟は現在、長女が31歳、長男26歳、次女が21歳です。

歳が離れた末っ子ということもあって、甘やかしすぎたのかなっていう面もあったんですが、娘は不登校を乗り越えて、今は自分で選択した人生を歩んでいます。

――娘さんの現在の状況を教えていただけますか?

ドイツ人の彼の実家にホームステイしながら、ドイツ語を学ぶために現地の語学学校へ通っています。

ドイツに行って半年ほどたった時に、彼の方から「結婚を前提に付き合っています」ということで話をされました。

就労ビザで行っていて、これから仕事を探すようです。

――娘さんはどんなお子さんだったのでしょうか?

今思うと、小さいころから人の顔色を敏感に感じ取っていた部分がありました。

幼稚園の頃から活発でクラスのリーダー的な存在だったこともあり、プライドが高い面もあったと思います。

私も娘は一人でなんでもできるって思い込んでいました。

小学校の後半から少しずつ反抗するようにはなったんですけど、当時は私も深く話も聞かずに、そのまま通わせていました。

中学進学については「地元の中学校に行きたくないなー」ってちらっと言ったんですが、娘も深く言わなかったので私もスルーしちゃったんです。

あとで、話を聞くと、その時私がスルーしたから、それ以上言えなかったそうです。

ただ、行きたくないと思った理由は今でもわからないようなんです。

――本格的に行きたくなくなったのはいつでしょうか?

中学1年の夏までは活発だったんですが、夏休み開けから、しぶり始めました。

学校に行きたくない理由を言わないので、私も「とにかく行きなさい」と言っていました。

私が朝起こしに行くと、寝たふりするんです。

娘は「寝てしまうと朝になるのが嫌だ」って言うのがつもりつもって、眠れなくなっていたんですが、私がため息つくと「ため息つきたいのは自分なのに!」って物を投げるって言うことが、一か月ぐらい続きました。

学校へ行く準備をして玄関を出ても、戻ってくるっていう事もありました。

ある日、娘が「今日は絶対行くから、玄関で背中を押して。そうしたら行ける気がする」って言うので、私が玄関で娘の背中を押したんです。

すると娘は、よろっとした後に、玄関の前で初めて泣き始めたんです。

私は一旦娘を抱きしめて宥めていたんですが、今度は娘が暴れ始めたんです。

もう私もびっくりして、でもなんとか落ち着かせて、娘に話を聞いたら「とにかく学校に行きたくない」って言うんです。

理由を聞いてみると、学校で別の授業から教室に戻ってきた時に、娘とお友達の机がひっくり返されていたことがあったそうです。

クラスの男の子のイタズラだったのですが、娘はそういう経験がなかったので、衝撃的だったみたいです。

もう1つは、部活で上手い人と下手な人の2グループに分けられた時に、下手なグループに入れられたことも原因のようでした。

娘は運動会ではリレーの選手だったし、リーダー的なポジションだったので、鼻をへし折られたように感じたようでした。

その2つが重なって、行きづらくなってしまったようです。

――学校へは相談しましたか?

担任の先生にお話しすると、イタズラをした男の子と話して解決すればいいんじゃないかということで、男の子と会う機会を作ってくれたんです。

男の子達もすごく素直な子で、きちんと謝ってくれて、娘としても納得したような感じでした。

これで、解決したと思ったんですが、それでも娘は学校へ行けなかったんです。

後から聞くと、このイタズラが娘のトラウマになっているようでした。

その時の私は、娘は「今は行けない状態なんだ」ということはわかったけど、学校は行かなきゃいけないものだ、と思いこんでいました。

うちは兄弟の上2人が皆勤賞をもらうような学校生活を送っていたので、余計に理解できなかったんです。

「学校に戻らない宣言」と「次の行き先」

――学校へ行かなくなってからのお子さんの様子はどうでしたか?

生活リズムも昼夜逆転で、日中もカーテンを閉め切って、引きこもりのようになってしまいました。

娘は「学校に行かない私はもうだめだ」と言うんですが、私も「だったら行きなさいよ」と返すことの繰り返しでした。

中学2年の4月には、クラス替えもあったので吹っ切れたのか、夏までは学校へ行けていたんです。

でも、夏休み明けから行けなくなってきて、同じようなことが繰り返されていたんです。

それまで通っていた塾も、ピアノも同じ地元の人に会うかもしれないという理由からやめてしまいました。

――不登校が長引いて、お母さんの心境はどうでしたか?

自分の思っていた人生と全然違うこと起きて、不登校を理解できず、娘がこのまま一生引きこもるんじゃないかと考えると、暗いトンネルの中にいるようでした。

家族の中でも、私が一番最後まで受け入れられなくて、私との葛藤が激しかったです。

何回も取っ組み合いをして、洋服が何枚もビリビリになるぐらい激しくぶつかり合いましたし、

一時は、娘が自殺してしまうんじゃないかと思って、主人と一週間ずつ仕事を休んで、見張っているような時もありました。

途中で、仕事を辞めようとも思ったんですが、友達に「母親が仕事を辞めてずっとそばにいると、逃げ場所がなくなって2人でどん底に落ちるよ」って言われて、私は仕事を辞めない方がいいなと思ったんです。

仕事をやっている間は自分を取り戻せる時間なんですが、仕事終わって、またあの子と葛藤するのかと思うとまっすぐ家に帰れない時もあったんです。

友達の家に寄って、ひと泣きして帰ったりしていました。
いくつか、そういう逃げ場所を作っていて、それが救いでした。

ある時、夜中の2時に娘が「もう死にたい」って家を飛び出したことがありました。

私も追いかけて行って近所の川まで来た時に、娘が「ここから飛び降りる」と言うんです。

私は「娘はこんなに苦しんだんだから、もう死んだ方がいいんだ」と腹をくくって「わかった。じゃあ一緒にママも飛び降りる」って言ったんです。

娘はびっくりして、少し冷静になって、二人で朝まで河原に座って喋ったこともありました。

そのぐらい私も追い詰められていました。

――娘さんを理解するために何かしたことはありますか?

不登校の子どもが元気になられていく過程のブログを探して読んだりしていました。

ブログには「全部受け入れてあげればいい」とか「いつも笑顔でいればいい」と書いてあるのを見つけて、その通りにしたこともありましたし、「なんで学校行けないの?と言いたくなる時には、自分の気持ちをノートに書きなぐるといい」とも書いてあったので、私も試してみました。

ノートにいっぱい「行きなさい行きなさい」とか書いてあるのに、娘には「行かなくていいんだよ」って言ったりして、まだギャップがある自分がいたんです。

コメントを書き込むと、ブロガーさんから返信が来たり「まっ暗いトンネルはいつまでも続かないから」と励ましていただいたり「うちの子も、もっとこうだったのよ」といった、やり取りをしていくうちに、だんだん不登校を理解していきました。

娘がお昼に起きてくることにため息つきたくなったとしても、明るく「おはよう」と言ってみたり、何かあるとハグしたり、始めは意識してやっていたんですが、そのうち自然とできるようになりました。

娘は、近所に買い物に行くと、同じ学校の制服を見るだけで震えだすようになって、もう本当に可哀想だなと思って、私も別に学校に行けなくてもいいんじゃないかなって思えるようになったんです。

それから、「全部受け入れてあげよう」と思ったら、まず自分がすごい楽になったんです。

そこにくるまではいろいろ葛藤があって、私自身もご飯を食べられなくなっちゃって、気がついたら7キロぐらい痩せていたんです。

中2の終わりくらいに娘が「学校には戻らない宣言」をしたんです。

そうして、学校の先生にも話をその話をし、学校へは完全に行かなくなりました。

――お母さんが不登校を受け入れてから、娘さんはどうでしたか?

娘も明るい方向に向かい、中学3年になる頃に「勉強はしたい」と言うようになったので、私が不登校専門機関に相談してみたり、いくつかフリースクールを調べるようになりました。

あるフリースクールに娘と2人で見学に行ったのですが、そこの校長先生は娘に「やりたいことがあるか、好きな科目があるか」を聞いてくださったんです。

娘はすぐに「私ここに来たい」と言いました。

ただ、そのスクールはまだ開校準備中で、見学の時には校舎内にも何もない状態だったんです。

先生が「4月からオープンだからね」って言ったんですが娘は「待てない」って言うんです。

そうしたら、先生が「じゃあ準備手伝って」って仰ってくださいました。

娘は、帰りの電車の中で「来る場所が見つかった」ってすごい喜んでいました。

留学を経て自分に合う環境を選択できるようになった

 ――フリースクールはどうでしたか?

とても馴染んで通っていました。

そこのフリースクールは通信制高校もついているので、高校までそこでお世話になりました。

娘は、英語が好きだったようで、ネイティブの先生について、英語の勉強を頑張っていました。

フリースクールの先生も仰ってましたが、勉強はやりたいときにやり始めると、すっごい身につくんです。

この様子を見た先生が「留学とかいいんじゃない」って提案してくださって、高校1年の4月から3ヶ月間、先生の知り合いがいるマレーシアの学校へ留学しました。

娘は英語がペラペラで行ったわけではないのですが、マレーシアでは「行った途端、自由になれた」と感じたそうです。

帰国すると自分に自信が出てきたのか、それまで避けていた友達とも対等に付き合えるようになっていました。

アルバイトも始めたのですが、娘は自分に合う環境がわかったようで、働く環境を選択するようになりました。

オープニングスタッフだと皆と同じスタートなのでやりやすい、登録制の派遣は1日ごとに違うところに行くので、自分に合う、苦手な人がいると働きづらいので、そういう職場は避けるようになりました。

高校卒業後の進路に関しては、先生が大学進学をすすめてくれた時も、娘自身が大きな集団は難しいと感じたようでした。

皆で話していても、あの子だけ食べてないな、とかすぐ気がついちゃうんです。

今はどんなに仲良い友達と楽しく過ごしても、次の日は1日誰にも会わないと自分で決めています。

多分生きづらい子だと思うんですけど、21歳になって自分で居場所の選択の仕方が、わかってきたんじゃないかなって思います。

今でも冗談で話すのですが、娘がお腹の中にいる時に、私のおなかをけったことが原因で、予定日より10日以上早く生まれてきたんです。

娘には「生まれる日も自分で決めたんだね。だから、きっとあなたは人生自分で全部を決めていくんだ」と今では笑って話しています。

娘の部屋の壁は、大きい穴が一箇所と小さい穴があるんですけど、記念にとってあるんです。

娘も「私の証」とか言って今はお互い笑って話せるんですけどね。

「すべて受け入れるんです。絶対に大丈夫。」我が子の不登校に悩む保護者の方へメッセージ

――最後に不登校の子供を持つ保護者の方に何かメッセージをもらえますか?

私も本当に自分の人生がひっくり返ったので、今でも娘の不登校は私のトラウマなんです。

今でも、いつか娘があの時のように戻るんじゃないかと不安になることもあります。

何もしてあげられない自分と苦しんでいる娘と、うちもここまで来るのに10年近くかかりました。

でも、絶対大丈夫です。

私は、学校に行かなくても、その子が元気に生きていてくれれば、本当にいいっていう所に行きつきました。

それしか言えないんですけど、本当に大丈夫です。

これは、この経験をした人じゃないとわからないと思うんです。

娘が不登校だと周りに言えるようになってから、職場でも、子どもの不登校に悩むお母さんの相談が増えました。

事情が分からない人は、子どもに我儘やらせていると思われるんですけど、その気持ちもわかるので、それも受け入れるんです。

私も上2人しか育ててなかったら、そう思う気持ちも不思議じゃないので。

いろんな意見があると思いますが、自分の芯が固まったので、批判も含めて全部受け入れています。

私は、ママの方をギューってしてあげたくて、ママが元気になって誰かに支えられていれば、なんか違うんです。

想いを共有できる人と、分かち合えたらと思うので、お母さんに元気になってもらいたいです。

――あたたかいメッセージありがとうございます。
  本日は貴重なお話しを聴かせていただき、ありがとございました。

[インタビュアー:西岡真知子/写真:吉中智哉]

◆ロン
フルタイムで働きながら3人の子どもを育てたお母さん。
末っ子は不登校を経てドイツ在住。

編集後記

穏やかな口調でお話してくださったのですが、当時の状況や葛藤を伺っているうちにロンさんの切迫した心境が伝わってきて、私まで苦しくなってしまうほどでした。

「人生がひっくり返った」と言う言葉からも、如何に不登校の受け入れが困難で、神経を消耗する出来事だったかということを感じ取ることができました。

また、ご自身が不安を抱えていた時にフリースクールの先生に「大丈夫ですよ」と言われるだけで安心できたそうです。

今、不登校を乗り越えたロンさんからの「大丈夫」と言うメッセージは、同じように悩む誰かの苦しさを少しでも和らげてあげたいという願いから出た言葉なんだと思います。

優しい笑顔に、私の方が安心してしまうほど、素敵な方でした。

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